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しろくま、ホッキョクグマについて、教えて!
―レストラン"トレーダーズ・テーブル"の仲間たちー(その二)

(ここは、極北。覚悟しろ!)

ArcticTrading Postは、見かけはアメリカ西部劇に出てくる雑貨屋にそっくりだ。 違うと言えば、外には、船のマストのようなポールの上にカナダの国旗がいつでもひるがえって、唯一、ここはカナダと教えてくれる。屋根に近い壁には、じゃこう牛、 カリブー、ムース(ヘラ鹿)など極北に棲む巨大な動物の角が飾ってある。

入り口のドアは、どんな寒さや烈風にも耐えられるような、厚くて頑丈な木製である。看板をのぞけば、ペンキなど塗ってない。ドアを開けると"カランコロン、カランコロン"とつり下げてある大 きな鈴が鳴り、店の人に"客が来たぞ!"と知らせる。寒さに耐えうる底の厚いブーツを履いている人達が、"ドスン、ドスン"と大きな足音を立てて店に入ってくる。

店の中にはいると、天井には大きなじゃこう牛やオオカミの毛皮が張ってある。それだけに"ここは日本ではないぞ!"と印象を強くさせる。むしろ"そのつもりで、覚悟しろ!"と、言われ ているような気もする。                                             店の少し奥には、シロクマ、北極キツネ、オオカミ、カリブー、北極ウサギ、ビーバー、アザラシ、ジャコウネズミ(muskrats)など極北に住む野生動物の毛皮、そしてそれら 毛皮で作った帽子、靴や着る物がある。頭では分かっているが、目に映る物は、何もかもが、不思議な世界だ。

シロクマの絵葉書、シロクマのカレンダーや写真集などお土産品もあるが、イヌイットが作った石や動物の骨の彫り物など土産品には事欠かない。シロクマやオオカミにさわったことのない観光客の目をみると、それは子供のように 輝いている。オオカミ一頭が綺麗な毛皮になって、カナダ$1000は、安いのか高いのか判らない。世界中捜しても、質の良い極北の商品をこれほど取りそろえている店 はないだろう。観光客にとっては、二番がないほどの町一番のお土産屋だ。

店の奥をのぞくと、そこでは先住民の女性達がミシンの前で、着る物や装飾品を作っている。時には、猟師や先住民が毛皮を売りに来るのが見られ、ここには偽物という言葉はあ りそうにない。レストランは、入り口は二つあるが、普通はArctic Trading Postの外側から入る 。

見た目には、どこがレストランの入り口か、捜すのは難しい。ここのドア-も、頑丈で重く、身体ごとぶつけて押さないとないと、簡単には開かない。ここでも"カランコロン、カランコロン"と、ドア-に掛けられた大きな鈴が鳴る。そ こは、西部劇に出てきそうな酒場レストラン"トレーダーズ・テーブル"だ。

シロクマのことが知りたくて、たくさんの本を読んでいた。その本の一冊に、シロクマの事を知りたかったら、図書館に行くよりチャーチルにあるトレーダーズ・テーブ ルというレストランへ行きなさい。秋になると、そこにある大きなテーブルには、シロクマ情報を集めようとする人達が、長い夜を過ごすために集まると書いてあった。

 

(C)1997-2006,Hisa.