地球と太陽のささやき、オーロラ
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太陽からのメッセージ

オーロラ、地球と太陽のささやき

オーロラを求めて―写真撮影(その一)
−達人たちと一緒に−

 

ホームページ『シロクマ紀行』が一つのきっかけとなって、撮影隊とチャーチルで同行することになった(2001年)。

秋になるとともに、シロクマ撮影のため、世界中からカメラマンがやってくるチャーチルでは、、撮影風景は珍しくいことではない。

ここ数年だけでも随分たくさんの撮影隊に出会った。英国、米国、フランス、日本など撮影隊は、チャーチルでは珍しいことではない。一度は米国のアイマックスなど10名以上いた。中には、世界的なハリウッドスターをつれてきた撮影隊もいた。

あまり映画スターには興味がなかったが、ユアン・マクレガーと言う人も来ていた。日本に帰ってから随分うらやましがられた。”サイン貰った?一緒に写真撮った?”などとよく言われた。

”興味ないからサイン貰わなかった。でも夜中まで、お酒を飲んだよ”と言うと。”ずるーい”と言う言葉が飛んできた。私にとっては、全く猫に小判のようだ。

世界からカメラマン達は、いずれも友好的で楽しい、一人で食事をしていると直ぐに声を掛けてくれる。”今日はどこへ行った?良い写真撮れたかい”と声をかけてくれるのは、一人で来ているとなによりだ。

町の人達も撮影隊には、慣れている。町役場はもちろん、カナダ公園局、マニトバ州の野生動物保護局や警察なども毎年のことなのか、慣れたものだ。ユニークなをも撮影の対象としたことにある。

小さな町なので、噂は一晩あれば知れ渡る。撮影が始まった、3日後には,町で我々のことを知らない人は、いなかったのではないか。我々の言動は,筒抜けで、初対面の人からも"今日は、撮影の調子どう?"なんて聞かれたりした。"ありがとう。ところであなたどなたでしたっけ?゛いつもこんな調子だ。
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あらかじめ決めたわけではないが,夕陽が落ちると15分毎に、オーロラが出たかをチェックする。オーロラは,何時に出現するか分からないからだ。

"Hisa!北の空が赤いぞ!オーロラじゃないか!"Uさんが小屋の外から叫ぶ(11月5日、2001年)。慌てて、外へ飛び出す。

"Uさん。あれは、ノザーン・スタディ・センターの明かりが空に映っているだけだよ。ただぼんやりと薄赤色に見えているだけかもしれないよ゛と言いながらもオーロラであったらと、心の中では祈る。

いつも冷静なUさんは,日本から来て間がないので時差ぼけで眠れないのか、それともよい仕事をしたい責任感で眠れないのか、何時も目を開けている。

音声・映像機器について、その高い知識にはいつも驚かされる。"Uさん。あなた何者?゛とよく聞く、"科学者?"と聞きたくなる。すでに音声や映像の仕事は,コンピューターの最新知識と技術なくして仕事は出来ない。そして彼は,仕事に取りかかるや、納得するまでとことん追求する。研究心旺盛で、カメラでも故障すると、現場で何とか直してしまう。やっぱり"あなた何者?"と聞いてみたくなる。ここまで出来なくては、プロとは言えないのか。ただただ頭が下がる。

もう一人は,Yさん。彼は,食べることでは、撮影仲間でナンバー・ワンだ。背も高いうえ体重もしっかりある。"どこかの相撲部屋から勧誘なかった?"とそのうちに聞いてみよう。口癖は,"昼食まだ?晩飯はどこ?食べるもの何かある?"だ。それでも"僕、未熟児だから、いつもたくさん食べます゛と自ら「未熟児」と名乗る。

だが撮影が始まると、飲食を忘れて集中する。風が強い日などく、体感温度が氷点下二十度近くも下がる。なのにジーパンひとつでがんばる。よく食べる分だけ、すごい粘りを見せる。撮影中に、"凍傷になるよ"と言うと、"もう少し頑張らせてください"と答えが返ってくる。

会うまでは,プロのカメラマンだから目つきも鋭いと思い込んでいたら、撮影や機材の話をする時の目つきは少年のような爽やかさが残っている。
不思議なことに,普通のカメラも、彼が手にすると身体の一部のように一体化する。

"Yさん!撮影中にシロクマがでたら、危険ですからすべて捨てて逃げてくださいね"と何度もお願いする。"Hisa!それだめだよ。カメラと撮影したフィルムは、命だから。絶対手から離さないから"と笑っている。

撮影隊の中では,Yさんが一番、シロクマを怖がっているが,私にとっては最も安心な人でもある。
5年間も,シロクマの写真をとりつづけていると、野生動物の怖さを何回も体験する。特にシロクマは突如として変わる。回数を重ねているうちに、ガードが甘くなって大変な目に会う。見かけは、可愛い、触りたい、抱っこしてみたい、シッポが小さくて面白いと、いろいろな表現が出来るが、豹変したシロクマは陸上最大の肉食獣だ。

Yさんのように、シロクマに畏敬の念を忘れない人こそ、本当の意味で野生動物と付き合える人かも知れない。

"Hisa!撮影と言うのはねぇ。あるから撮るのじゃないのだよ。何が起こるかをあらかじめ計算して待つんだよ。何でもカメラを回して撮ればいいというのと違うよ"と撮影談義になるとうるさい。

カメラ機材の話になると、とどまることを知らない。その談義は、彼の知識を見せびらかすのとは大違いである。撮影現場で、常にカメラといっしょに行動する経験から生まれた提案である。撮影談義になると、そのこだわりには荒っぽさをも感じる。

新しい映像の時代を背負う意気込みを感じる。私とは世界が違っていても,彼等の考え方には,いつもあたりまえの心を感じるのが面白い。

ここでも、達人(プロ)の世界を見せ付けられる。私にとっては、彼等は、今まで会ったこともない先生だ。

(続く)

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(C)1997-2006,Hisa.