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野生動物写真になるには・・・人生の置き忘れた宿題

数えてみれば、既に8年間、13回もチャーチルへ来たことになる。撮った写真も4万枚は越えただろう。

1997年、30年あまりの会社勤めをやめて、経営コンサルタントとして独立した。ところが忙しさは前とあまり変わらない。しかし、いくら忙しくても、時間は自分で 作るものと決めた。その時間は、最も自分らしい表現者であるために。それは、人生の片隅に置き忘れた宿題、「野生動物写真家」になろう。それが私にとって初めての チャーチルへの旅となった。

チャーチルへ行くため、極北で寒さから身を守るための衣類を東京で探し回った。しかし東京の10月初めでは、時期も早すぎたためか、あるいは日本では使う人が少ないためか、手に入れることは出来ない。あってもブランド品で軽くてデザインは小気味よいが、とても薄くて使い物になりそうもない。

泊まるチャーチルの宿の主人アンへ何度も電話をかけて、チャーチルでの心構えを聞く。

" もしもし、今日は寒いですか?11月になったらどんな着る物がよいですか?履物は?"

しかし答えは、何時も丁寧だが、その説明は、あまりにも東京での暮らしとは、ほど遠く理解に苦しむ。

" 今日は、風もなく暖かなのよ。マイナス10度よ。でも11月には、絶対マイナス25度以下よ、30度かも知れないの"
暖かで、マイナス10度では、あまりにも常識の違いに戸惑う。

"あなたプロの写真家?"
"うーん。趣味ですけど、シロクマの写真を撮りたいのです"
と、プロの野生動物写真家といえない後ろめたさを感じる。
"そー、写真家は、あまり動かないからスノーブーツじゃ無理ね。もっと靴の底が厚くなくては。パーカーも必要よ。パーカーは、フードがついてなくてはダメ よ。それもチャックでついているフードでは、冷たい風が首筋から入ってきてしまうから。それからもも引きもね。"

パーカーのフードの周りに着いている毛皮が、お洒落のためでないと気がつくのはずいぶん後になってからであった。テレビやビデオで、極地の物語を見たり、北海道に 住んでいた友人にもお教えを請うたりした。

夏休みに、米国北部にあるモンタナ州へ行った。ここなら冬用品あるだろうと。ここでも寒くならないと店先には商品は置かれない。倉庫から出してくれるが、サイズが合わない。

やはり買い集めるのは無理がある。やもえず、チャーチルへの飛行機の乗り換え地点であるウイニペッグで買い集めることになる。

 

(C)1997-2006,Hisa.